艶麗な夜華
自分に言われた訳じゃないのにその一言にドキッとする。



「恭也…」


上目づかいで恭也を見る彼女は、


もうすっかり操作されている。



彼女の体を支えながら、


ゆっくりとコートを脱がせる恭也の手のしぐさは妖艶で、


なんだか見ていられなくなったあたし。



恭也は彼女をカウンターに座らせると、


ソフトドリンクを出す。



「ごめんね恭也……大きな声出して……


あたしの事……嫌いになった?」



下を向く彼女に、恭也は優しい笑顔を向ける。



「酔いが醒めるまで此処に居るといい」



「うん」



それから静かな会話が続き、


完璧に彼女をコントロールした恭也。



さすがと言うべきか、


なんていうか……



出勤時間になり店を出るあたしは、


なんだか憂鬱な気分になっていた。

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