艶麗な夜華
改めて恭也と愛華の凄さを知った。



「そうだったんだ……」



ヤスは椅子から立ち上がるとカウンターの中へ入る。



「俺から話せるのはそのくらいだ。


電気と空調消すの忘れるなよ」



「帰るの?」



「あぁ。夜もあるからな」




ヤスが帰り、静かになった店内を見渡す。



シンプルなグレーの壁紙に、


たくさんのアルコールが並ぶ背の高いシェルフ。


ブルーの光に照らされた透明のグラスはまるで宝石のように輝き、


余計な飾りを必要としない。


毎日お客さんで賑わう店内。


暖色系の少し暗い照明はいつだって恭也を魅力的に照らすけど、


幅の広いカウンターはそれ以上彼に近づく事をさせない。



あたしは椅子から立ち上がると冷えたカウンターに手を触れた。


2年前、28歳の時に恭也が作ったこのお店。


自分の店を持ち、


ビルを持ち、


マンションを持ち、


従業員を抱える恭也は……やっぱりあたしにとってあまりにも遠い存在だった。

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