艶麗な夜華
バスを待つ間、何度もさっきの光景が目に浮かぶ。

ブランケットを拾い上げた彼女。

もし、彼女が本当は歩けるのだとすれば……

歩けないと嘘を吐く理由はただ1つ。

恭也に傍に居て欲しいから。


彼女を抱き上げる恭也の優しい顔が頭に浮かんだ。


なにも知らない恭也。

このままずっと彼女が歩かなければ、

恭也はいつまでも彼女を支え続ける。


不意に締め付けられた胸。

嘘で恭也を縛り付ける彼女が、

嘘で恭也から優しさを貰う彼女が……憎い。
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