ダンデライオン
その視線からそらすと、
「おやすみなさい、お父さん」

私は居間を後にした。

逃げるように自室に入ると、ドレッサーの鏡を覗き込んだ。

――全然変わっていない

私のどこが変わっていないと、忍兄ちゃんは言うのだろう?

と言うよりも、いつの頃の私と比べてそんなことを言っているの?

自分の頬に自分の手を当てた。

「年齢(トシ)をとってる以上、それ相応に変わっているに決まってるじゃない」

状況とシチュエーションに流されてしまった自分を頭の中から追い払うと、部屋の電気を消した。

「四捨五入したら30なんだから」

…自分で30だと言ったら悲しくなった。
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