ダンデライオン
もう、そうやって頭ポンポンとなでてくるんじゃないわよー!

そう思っていてもその手を振り払うことができない自分がいた。

「じゃ、お邪魔しまーす」

「あっ、ちょっと…」

私の制止も聞かずに、忍兄ちゃんは部屋の中へと足を踏み入れた。

「別にいいじゃないか。

浅井さんの口から俺が知らない麻子の話も聞きたいし」

朔太郎はどこか嬉しそうである。

「そんなたいした話じゃないと思うわよ?」

そう言った私に、
「焼きなす、美味い!」

忍兄ちゃんの声が聞こえた。

「勝手に食べるんじゃないわよ!」

私たちだってまだ食べていないのに!

「おもしろい人だね」

朔太郎はクスクスと笑いながら言った。
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