センチメンタル・スウィングス
「おはようございます」
「おはようござーっす」
「飛永。挨拶はちゃんと言え」
「所長だって、いっつもこんな感じじゃないですか」
「俺はいいんだ。あぁ檀上」
「はっ、い」
「ちょっと。カウンセリングルームに来て」
「・・・はぃ」

なんか・・・不機嫌気味な和泉所長を見ていると、私が悪者っぽいような気がしてくるじゃない。
別にオドオドする必要はない、私!
と、自分で自分を励ましながら、所長の後ろを歩く今の私は、罪を犯した悪代官で、前を歩く所長は、奉行所の金さん?
だから彼の背中は、いつもより大きく広く、逞しく見えるのかしら・・・。

やっぱり今日、仕事休めばよかった。
いや、そんな生ぬるいことするより、今日付けで辞表を送っておけば・・・。

なんて考えてるうちに、「檀上」という低い声が、カウンセリングルームに轟いた。

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