喫茶の謎解き意地悪紳士2


綾華が「救急車を要請しました」と阿部の元へやって来る。

「……よかった」

これで全てが終わったんだ。

安堵からか、詩音の瞳から涙が流れる。

ガクンと膝に力がなくなり、汚れた地面に座り込む。

「……大丈夫だったか?」

車椅子で叶亜が詩音の前に現れる。

その姿を見たとたん、震えが止まらなくなった。

「……怖かったろ。」

「別に、怖くなかった……です」

素直に言える訳ないじゃないか。

泣き顔を見られまいとうつむいていると、叶亜が詩音の髪に手を置いた。

温かくて……大きな手。

隠しきれなくて、詩音は叶亜にしがみついた。

< 183 / 203 >

この作品をシェア

pagetop