喫茶の謎解き意地悪紳士2


叶亜が優しく詩音の背中を撫でる。

「なんで単独行動するんだよ」

嫌味たらしく耳元で言ってくる。

「……ごめんなさい」

「だから君は単細胞なんだ」

いつもならその言葉にカッときて言い返してるのに、今はすごく嬉しくてホッとする。

「本当に君は……バカだな」

「バカで結構です。助けてくれてありがとうございました」

こういうとき、素直に礼が言える女の子なら可愛いげがあるのに。

詩音は叶亜の前じゃ、素直になれない。

涙を拭って叶亜から離れると、いつのまにか到着した救急隊員に手当てされた光が連行されていくところだった。

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