【短編】甘い嘘
・・・それから2時間経ってやっと、別れたんだ、って理解した。





誰もいなくなった部屋でぽつんと一人、机の上に置かれた鍵を見つめて。





ねぇ、私はまだ何も返事をしていないよね。


修也の手を握って引き止めることも・・・追いかけることすらしてないよ。








まだ時間は経ってない。


・・・私達の関係はまだ元に戻る可能性、あるよね・・・?







そんなことを考えているうちに、私の身体は勝手に玄関へと向かっていた。


靴を履く時間さえもったいないような感じがする。








早く行かなきゃ。

修也の所へ、行かなきゃ。




―バンッ!!!




私は思いっきり玄関の扉を開けて部屋を飛び出した。














「遅いよ、佳苗。」


< 13 / 18 >

この作品をシェア

pagetop