らぶ・すいっち





「ひとつ解決はしましたけど、もう一つの疑問にも答えてください」


 なんでしょうか、と順平先生は首を傾げた。


「ないって……私の胸を見て言ってませんでした?」


 先ほどまでしていた甘く淫らな情事中、順平先生は私の胸を見て確かにそう呟いた。

 そのときはどうしたんだろう、とは思ったが、甘美な痺れに浮かされてその場で聞くことはできなかった。
 だけど、今だに気になるものは気になる。

 そう順平先生に伝えると、彼は困惑して頭を掻いた。


「……実は、さきほどあの編集者と電話で話した際に挑発されたんですよ」
「挑発、ですか?」


 必死に会話の内容を聞きとろうとしていたが、結局わからなかった合田くんと順平先生の会話。
 その会話は、フリーペーパーの記事についてだけではなかったようだ。


「須藤さんの乳房の下のあたりに黒子があると彼は言っていました」
「は?」


 目をぱちくりと瞬く私に、先生はバツが悪そうに息を吐いた。



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