らぶ・すいっち
「この半年間、君なりに頑張ってきたと思います」
「順平先生?」
「周りの生徒さんたちにも恵まれて、初めたばかりの頃よりはだいぶマシになってきたのではないでしょうか」
「ぐっ……」
先生にそう言われても仕方がないほど、最初の頃は酷かった。
包丁もろくに持てないし、専門用語を聞いてもチンプンカンプン。
それなのにベテラン主婦たちが受講するコースに、よく飛び込んだものだ。
いやいや、待て。私は一応最初は初級者コースをお願いしていたはず。
それなのに人数調整か何かで、私は順平先生が指導するコースにぶち込まれてしまったのだ。
私の料理の腕については、受講手続きのアンケートで包み隠さず書いたはず。
「あのですね、順平先生。お言葉ですが、好きでベテラン主婦コースに入ったわけではないですよ?」
「あれ? そうでしたか?」
クツクツと肩を震わせ笑う順平先生なんて初めて見たかもしれない。
驚いて目を見開く私に、順平先生は不思議そうに小首を傾げた。