らぶ・すいっち
「なんでも真に受けるのも、疑うのも自由だけどな。もう少し男を見る目を養って、男の言葉の裏を読んだ方が良い」
「それは、合田くんを特別に警戒しろという忠告?」
ムッとして眉を顰める私に、合田くんはカラカラと楽しげに笑う。
「俺だけじゃなくて、他のヤツもってことだけどな……ほら、あそこの店だ。着いたぞ」
車は左にウィンカーを出し、ゆっくりと駐車場に入っていく。
着いたその店は中華料理店のようで、外見からして“中華”だとわかる外観だ。
駐車場を見る限り、お客さんもたくさん訪れている人気店のようである。
「ここ、俺の先輩がやっている店なんだけどな。美味いから期待してていいぞ?」
「合田くんは、フリーペーパーの編集者だからね。美味しいお店には詳しいだろうから期待してるよ」
私の言葉に気をよくしたのか。合田くんは車を停めると、私の頭をポンポンと優しく触れた。
「おう! じゃ、行こうぜ。腹減った」
相変わらずの合田くんに笑ったあと、私も彼の後に続いてお店の中に入った。