Destiny
「おっ、かわい~い、わか~い!ね~俺らと飲もうよ~!」
典型的な酔っ払いの絡み。
無視してすぐに店に入ればいい。
でも、それができなかった。
「…あのっ…」
男性に免疫が無い菜々瀬は、
足が竦んでしまい逃げるという考えも浮かばなくて。
「怯えないで~俺らめっちゃ優しいよ?紳士よ?」
「そうそう~奢るからさ、ほら!」
「や、やだっ…」
腕を掴まれ、引っ張られそうになる。
怖い。声が出ない。足が動かない。
せめてもの抵抗にと足を踏ん張った瞬間、
「おい、やめとけ」
響いたのは、低く凛とした声。