Destiny
ご飯を食べながら談笑していると、もう19時を過ぎていた。
お互いに最終確認を済ませて家を出る。
「あたし、ぶっちゃけ店の場所覚えてないのよね」
「えぇ?! 覚えてるもんだと思ってたんだけど!
言っとくけどわたしもうろ覚えだよ!?」
「何でよ!? ナナは素面だったじゃない!」
「あの店わかりにくいんだもん…!」
危うい記憶を頼りに、30分とちょっとかけて辿り着いた。
「いやー、迷った迷った。たぶんここ、普通に来ればナナの家から20分かからないよね?」
「うん…凄く神経すり減らした気分…」
「まあ冒険ってことで! お酒も美味しく感じるかもよ! ははっ!」
「芹は能天気すぎなのっ」
躊躇なく店のドアを開けた芹に続いて中に入ると、あの日のように穏やかな笑みを浮かべたマスターが「いらっしゃいませ」と迎えてくれた。