濃紺に染まる赤を追え。





意味が分からなかった。


混乱する頭の中、再びクリアに聞こえ出した周りの音。

だんだんと冷静になって状況把握をしようと試みたけれど、雨音より近くで聞こえる心音に失神しそうになって。

必死で意識を掴み、何とか理性を保つ。





深く、一度深呼吸をした。


雨の匂いに混じって、ひなたぼっこの柔らかい匂いがして、ぎゅっと目を瞑る。







抱き寄せられた、と。


グリーンの腕の中で思う。









「……、桐谷」







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