恋の治療は腕の中で
「大丈夫紗和?」

「ちょっと飲み過ぎじゃないですか?」


夕方5時を過ぎるとお店の雰囲気はガラリと変わり私達はそれと同時にワインを頼んだ。

「大丈夫よ。それにしてもこのワイン美味しい。」


ワイングラスを高く上げると、何処からともなく陵介さんがやってきて私のグラスを取り上げて

「紗和さん、ちょっと飲み過ぎじゃないですか?少し外の風にあたりましょう。」


「ちょっと紗和さんをお借りしますね。」

「どうぞ、どうぞ。よろしくお願いします。」


私はふらつく身体を陵介さんにかかえられながらお店の外に出た。

心奈は、そんな二人をニヤニヤした顔で見送った。


陵介さんは私のとなりに腰掛けて私が落ちないように肩を抱いていてくれた。


「珍しいですね。紗和さんがこんなふうに酔うなんて。」

「ごめんなさい。お仕事中なのに迷惑かけてしまって。私なら少し風にあたれば大丈夫ですからお仕事に戻って下さい。」


「私のことなら心配しなくて大丈夫です。これでも一応オーナーですから私がいなくても店は困りませんよ。
それに、紗和さんを置いて行く方がよっぽど仕事にならないですよ。」

「優しいんですね。陵介さんってモテるでしょ?」


「そんなことないですよ。私はこれでも一途なんですよ。」

「彼女さんが羨ましいですね。」


「彼女なんていません。でも好きな人はいます。」

「そうなんですか?でも陵介さんなら絶対うまくいきますよ。」

「だといいんですが……。」

その時私の携帯が鳴った。

画面を見ると藤堂先生と書いてある。

「出ないんですか?」



「えっ。あー、いいんです。うちの病院のドクターなんですよ。何でしょうねこんな時間に。」


私は曖昧に笑った。


「もう大丈夫なんで、皆の所に戻ります。」

私が立ち上がろうと腰をあげると、


ふらっ

足に力が入らなくて危なく転びそうになるのを陵介さんが抱き止めてくれた。

私は慌てて身体を放そうとすると


ギュッ


えっ?


「陵介さん?」


強く抱きしめられた。


「あのー、ありがとう。もう大丈夫ですから。」


「何かあったんですか?あなたがこんなになるなんて。僕では力になれませんか?」


私は陵介さんの言ったことを直ぐに理解できずにいると
< 53 / 163 >

この作品をシェア

pagetop