3日限りのルームシェア
女の人は樹を見ると顔をパッと明るくさせ、肩をバシバシ叩いた。
もしかして樹さんの友達って・・・・女の人だったんだ・・・
そう思うと知香は何だか面白くない気分になった。
そんな事を知らない2人は知香の横で楽しそうに話をしてるから
ますます面白くない。
「昨日帰って来た。」
すると女の人はまた、びっくりしながらも凄くうれしそうだった。
「も~~来るのわかってたら美味しいの作って待ってたのに・・・・」

知香は、ほらね・・やっぱり会いたい女が
きっといろんなところにいるんだ!
完全に不貞腐れモードだ。
「お前たちがお店始めた頃に俺海外赴任になっちゃったからね・・・・」
「そうだったわね・・・」
はいはい懐かしい話楽しいよね~~
だったら私はいらないだろ~~
あー帰りたい。
知香の心の中はブラック知香となっていた。
すると知香と女の人の視線がばっちり合った。
凄く不機嫌な顔をしていたのを見られてバツの悪い知香は
俯いていた。
そんな知香に樹が気付き、慌てて女の人に知香を紹介した。
「あーごめんごめん。彼女・・・憶えてるかな?梓の友達の・・知香ちゃん」
何?憶えてるかなって・・・初対面じゃないの?
樹の言っている事がわからず知香は樹を見ると
「あ~~~!わかった。え?・・樹・・もしかして・・・」
すると樹は物凄く慌てた様子で
「い・・いや・・まだだから・・・これからだから・・・」
樹の言葉に女の人はあからさまに嫌な顔をした。
「相変わらずヘタレ全開だね・・・ふ~~ん。そっか・・・彼女が・・知香ちゃんね」
何なんだ?さっきから含みのある言い方。
ますます気になる。
「ちょ・・・もういいだろ・・・それより・・・
知香ちゃん、彼女は俺の大学時代からの
悪友・・・・中原…いや、今は秋元雪音(あきもとゆきね)さん」
雪音は笑顔で知香に挨拶した。
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