3日限りのルームシェア

「はじめまして・・・じゃ~~ないんだよね。・・・実は何度か会ってるんだけど・・・・憶えてないわよね~~」
雪音が何か言うのではないかと樹は落ち着きがなくなってきた。
「お・・おい!もういいだろ?それより慶太は?」
「え~~!そこで話し終わらせないでよ~。慶太?いるよ。
ちょっと待っててね」
そういって雪音は厨房にいる慶太を呼びに行った。
「知香ちゃん・・・ごめんね・・・不愉快な思いさせたんじゃない?」
さっきから面白くない全開の知香だったが
「大丈夫です」と一言だけ言った。
・・・絶対不愉快に思ってる・・そう思った樹は
「・・・後でちゃんと説明するから・・・・」
知香もそれ以上の事は言わなかった。

間もなく雪音が厨房から慶太と一緒に現れた。
「樹!」
「慶太!久しぶり」
2人は4年ぶりの再会を喜んでいた。
すると慶太が知香の存在に気がついた。
「おい・・・もしかして・・この子って・・・」
「そのもしかしてなの!」
そう言ったのは雪音だった。
・・・知香は益々混乱した。
みんなは知香の事を知っているのに知香は2人を知らない・・・
どういうこと?
その様子に気がついた樹は
「あ・・・こいつも俺の悪友・・・秋元慶太。雪音の旦那」
知香と慶太は互いに自己紹介をした。
それから席に案内された。
慶太の勧めで注文はお任せにしてもらった。
知香は出されたお水を一口飲んだ。
「さっきはごめんね。なんかあんな言い方されたら気分悪くなるよね・・・」
「・・・大丈夫です。」
言葉とは裏腹に知香は不機嫌そうだった。
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