3日限りのルームシェア
その時だった玄関のチャイムがなった。
知香はそれが樹だとわかった。
重い腰を上げた。
「誰?」
「僕だ!樹だ…頼む話を聞いてくれ」
智香は唇を噛みながらどう返事をしたらよいか悩んだ。
無視することもできた。
だけど・・・
「言いましたよね。今日はビジネスホテルかどこかに泊ってくださいって・・・」
「泊るよ。だけど話を聞いてほしいんだ…頼む」
「いい訳なんか聞きたくないんです。」

「いい訳なんかじゃない。本当の事を話に来ただけだ・・・」
知香とは正反対な樹の切羽詰まった言い方に知香は戸惑う。
「本当の事・・・・?」
今更といった思いが心を支配していた。
「そう!・・・そのうえで判断してほしい・・・」
樹の切実な願いがドア越しから伝わる。

気がつくと知香は鍵を開けドアを開けていた。
「知香ちゃん・・・」
「・・・・だったら本当の事を聞かせてください。」
まだまともに顔をみることが出来ず
視線を逸らしたまま樹を家にあげた。
靴を脱ぎ家に上がった時乱暴に置かれた
知香のカバンが知香の心の中を表している様で
樹は唇を噛んだ。

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