憎たらしいほど君が好き
「あっ霞ー!汐見ー!」

待ち合わせ場所の時計塔の下で叫ぶ美少女。

嬉しそうに笑うイケメン。

分かっていたことだけれど、やっぱり胸が痛い。

平々凡々な私にはあんな綺麗に真人の横は飾れない。

メールが来た。


《霞のおかげで理彩と遊べる!もう…これっきりにした方が良いかもしれないけど》


嘘つき。分かりやすすぎるんだよ。


理彩を諦める気なんか甚だ無いくせに、私の機嫌なんて取ろうとしないで。


私を保険にしないで。


「そんな顔するんじゃないよ」

突然、寡黙だった夕陽が口を開いた。


「そんな顔?」

どんな顔をしていたのか。

「そんな死にそうな顔。不細工」

バチンとデコピンをまともに食らった。


「不細工で悪かったな!」

口だけ達者で困る、と夕陽が呟く。


「どうせ口だけだよ」

「馬鹿だね」

「バカバカ言うなっ」



やな奴、やな奴だけどこれがこいつの優しさだ。


「よっす霞アンド夕陽」


真っ先に挨拶したのは真人。


「おはよ。朝からテンション高いねー」

「当たり前だ!」


ぽんぽん頭を叩かれ心臓が跳ねる。


「俺さー賭けすんだよ」

「賭け?」


「今日、理彩にもっかい告る。ダメだったら諦める」

「そっか」


夕陽が気を利かせて理彩と適当に話すのを二人で眺める。

真人には複雑な光景だろうけど。


でも私と真人では感じ方が違う。


たぶん、割り切っているのだろう。


誰だって好きな子が自分以外と話しているなんて気分が良くない。


ただ──それはそれ、これはこれ。と割り切れているのだ、真人は。


私はできない。


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