憎たらしいほど君が好き
屋台が建ち並ぶ広場に来ると、

「夕陽、りんご飴」

りんご飴の屋台があった。

「…だから何」

「へえ、汐見りんご飴好きなんだー!」

「意外だな、案外オコサマ味覚」


夕陽の《だから何》を無視してはしゃぐ理彩と真人。
似てるのかな二人って。


「別に嫌いではないけど、勝手に話を進めないでくれる?」

イラッとしながら反論する夕陽。


「可愛いよねー!」

「夕陽に可愛いとか有り得ねぇー!一番似合わない言葉だろー!」


「え、でも美味しそう。買って来るわ」


笑いの輪から抜けて私は屋台へ向かった。


何だか夕陽がいたたまれなくて、そしてフォローするにもフォローできない状況だったから。


このりんご飴、カナダ在住日本人農家からの出店らしい。

珍しく茶色の蜜でくるんである。

「二つ下さい」

「お、目が高いね!これはねー青森産最高級りんごをカナダの純メープルシロップでくるんであるんですよ」


店の男の人がニッコリ笑う。

おお…イケメン。


「カナダ在住日本人農家なのに、青森産?」


思わず疑問が口に出てしまった。

でも、それってカナダに行く意味なくない?

何でわざわざカナダ行ったんだ。詐欺か。


「鋭い!このカナダ在住の方がうちの青森りんご農家の息子でね、りんごに合うメープルシロップを研究してんだよ」


なるほど。


「シナモン散らしても美味しいけど、どうする?」


りんご飴を受け取ると男の人がシナモンのボトルを振って言った。


「じゃあ、こっちの一つだけ」


シナモンをかけてもらい、夕陽たちを探しに走った。
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