憎たらしいほど君が好き
「何だよ」

「もういいよ…」


怪訝な顔の真人を眺めていると理彩が遠くから叫んだ。

「マサくーん!!クロワッサンある!!」

「おう、今行く!」


また走って行ってしまった。

どこまで自由。


「はぁ~…」

真人の後ろ姿にため息をついてみせ、夕陽に向き直る。


「はい、りんご飴」

「………何なの、嫌がらせ?」

「嘘つきね夕陽って。りんご飴大好きなくせに」

「うるさいよ」

「シナモン付きと普通の、どっちがいい?」

「普通の」


片方を渡し、夕陽の隣に座る。


かじるとカリッと小気味い良い音がして、


「──苦い。甘い」

意味不明な言葉を呟いてしまった。


「何言ってんの?バカ?」
「え、だってそうじゃん。アメはほろ苦甘くて林檎は甘い」


「言語力が無くて可哀想だね」 

「口、縫って欲しいの?」
沈黙。

でも、本当に美味しい。


本場のメープルシロップは甘くてほろ苦、と留学中のカナが言ってたけど。


あの時は意味分かんなかったのに今は分かる。
< 16 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop