憎たらしいほど君が好き
何だかなぁ、と薄青の空を見上げる。


白い画用紙に水を薄く塗って、そこに少しだけ青を落とせばあんな色になる。


透明水彩で、きっと…脆い。


なんだか私みたいだ。

ロマンチックでも何でもないけど。

硬くて白い画用紙は色がないと何も表せない。

色づいてしまえば硬かったはずのそれは、消しゴムなんかをかけてしまえばポロポロと崩れ落ちてしまう。

真人が私に色をつけた。

真人は私を壊す元。

だけど色無しでは駄目。


「…馬鹿みたい」

「今さら?」


今日は感傷的になる日だ。

今まで傷つくことなんて慣れていたのに。




しばらくしてから、夕陽が立ち上がった。



「バカスミ、そろそろ二人のとこ行くよ」

「うん」


ずいぶんボーッとしていたらしい。


十二時に広場についたはずが、もう二時半になっていた。
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