ハコイリムスメ。

言っておくけど俺は別に、特別背が低いわけじゃない。180くらいはあったはずだ。
こいつはその俺より10センチは軽く高い。

どうして俺が、こんなやつを見上げなきゃなんないんだろう。
くそ、全部店長のせいだ。




「おーい」
「あ？見せもんじゃねえぞ」


振り向いた筋肉の顔を見てまず思ったこと。

あ、コイツ眉毛が無ぇ。

っていうか、間抜け面。



まー、普通の女の子なら、こんな奴に囲まれちゃ声も出ねえわなー。




俺がこの女の子だったら、

「えー、何その間抜け面!!ありえなーい!!」

って言ってやるけど。




俺が冷静に分析していたら、眉なし筋肉の顔はみるみる青くなっていった。



？俺まだ何もしてないんだけど。



「や、谷神さん!!」
「は？」





言い忘れていたけど、俺の名前は谷神ちとせ。

小さい頃は『ちとせ』なんて名前が嫌でたまらなかった。
でもまあ、今は結構気に入ってる。
ちとせ、って、千歳て書く。俺はひらがなだけど。
長生きしそうだろ？