清掃員と経営者

「あっ!そうそう。さっきロビーで社員が話してたんだけど、坂本さんって彼女いるらしーよ。」

「へえー」


今の瑠美にとってはどうでもいい話だった。今の仕事を、この状況をどう改善するのかその方が大事だった。


「瑠美は坂本さんの事…好きなの?」


早紀子が覗き込むように聞いてきた。


「別に。優しいけど恋愛って感じじゃないかな。なんで?」


「実はね……。聞かれたの、坂本さんを誘惑してるのかって。」


早紀子の話はこうだった。

瑠美が坂本に猛アピールして彼女と別れさせる画策をしている…と。

溜息しか出ない。
まるでドラマの中の話だ。

早紀子は女性社員聞かれて「判らない」と答えた。でも瑠美が坂本を好きなら応援するつもりだったので曖昧な返答をしたのだった。

今となればその早紀子の一言で瑠美への影響が変わっていたかもしれないと謝ってくれてた。

社員と接点を持つ事がこれほど厄介だとは思わず行動した事に腹が立ち、情けなく思った。

事態を収拾する為に坂本と話をしなければと考えた。
しかし収拾どころか、悪い方に話は流れていった。


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