清掃員と経営者
翌朝、エントランスで坂本を待ってみたがなかなか現れず、階段を上りながらメールをしてみた。
しかし営業課は直行直帰もあるので、すぐに返信がある訳ではなかった。
そんなある日、瑠美に対する嫌がらせが続く中、営業課の女性社員が瑠美に声を掛けてきた。
「あなたが村上さん?」
「えっ…?あ、はい。」
「突然ごめんなさい。話があるんだけど、お昼休みに食堂まで来て欲しいの。」
恐らく坂本絡みだろうと勘付いた瑠美は、「分かりました」と短く返事をして仕事を片付けた。
昼休みになり社員食堂へ向かう。
先程声を掛けてきた女性社員を探すと、彼女は入口に近い席にすわっていた。
「お疲れ様です。お待たせしてすいません。」
「いえ。突然ごめんなさい。営業課の中田です、坂本から相談されて…。」
「……どういう事ですか?」
瑠美は状況が判らず眉を寄せ首を傾げていると、中田は呆れるようにため息をついて話し始めた。
「あの…単刀直入に言います。私は坂本と付き合ってます。最近あなたの噂を聞いて彼に真相を確認したら、一方的に言い寄られて困ってるって彼が。」
「そんなっ!誤解です!言い寄ってるなんて事してませんっ!」
「村上さんにそのつもりがなくても、坂本が迷惑してる事に変わりはないの。もう私達の間に入ってこないで…うっ…」
言葉の最後に嗚咽を漏らしながら中田は訴えてきた。
その様子は食堂の入口付近だった為、多くの目に晒された。