オオカミと少女

ナターシャはオオカミが走って行ったと言う道を1人で歩いていた。



警備団の男は自分も一緒に行くと言ったが、ミストを無事に夫の元に送り届けるようにお願いした。



それに、オオカミがイーサンなら1対1で会いたかったのも本音だ。




「この道って…高台に続く道だ…」




ナターシャはこの道に見覚えがあった。



イーサンと高台に来た時に通った道と同じだったのだ。



その記憶通り、しばらく進むとナターシャは高台の広場に出た。



そこは崖になっているため奥は行き止まりだった。




ナターシャが暗闇に目を凝らすと、高台の奥で何か影が動いたような気がした。




「イーサン?」



「くぅ~ん…」



「イーサン!?」




ナターシャはその影に駆け寄った。



そこには1匹のオオカミがいた。



どこか怪我をしているのか辺りは血だらけで、オオカミは小さくうずくまっている。


だいぶの出血量だった。




「大丈夫、大丈夫!私が助ける…!」




ナターシャは着ていたカーディガンを脱ぐと、それをやぶってオオカミの足に巻いた。



その間、オオカミはじっとナターシャの目を見つめている。




「イーサンよね?」




ナターシャはこのオオカミがイーサンだと確信していた。



それはその首に鍵のデザインのネックレスがかかっていたから。






< 46 / 53 >

この作品をシェア

pagetop