君が嫌いで…好きでした
季節は少し巡り窓の外は温かい春風が吹いていた
久しぶりに制服に腕を通して鞄を持った
千菜「チョコ行ってくるね」
玄関を開けて外に出る
アパートの階段を下りて行くとそこには奏叶と湊の姿があった
奏叶「おはよ千菜」
優しい笑顔で迎えてくれた奏叶
その隣では眠たそうにあくびをする湊も居た
千菜「おはよう奏叶、湊」
3人揃うと並んで学校に向かって歩き始めた
温かい春風が吹き私達の住んでいる町にも桜が咲き乱れ新しい季節がやって来ていた
湊「ふわぁ…始業式なんて面倒くさいな」
奏叶「お前さっきからあくびし過ぎ。それに今日はクラス発表もあるんだから」
春が来て私達は3年生になった
高校生最後の1年…
千菜「クラス替え…どうなるんだろ…」
奏叶「心配しなくてもきっと一緒だよ」
湊「なんの根拠があるんだよ…」
奏叶「ん?勘だよ♪」
湊「適当だな…」
千菜「私は奏叶を信じるよ」
湊「千菜まで…」
そんな話をしながら学校に着くと掲示板の所には沢山の人がクラス替えの表を見入っていた
湊「俺が見てきてやるよ。お前らここで待ってろ」
奏叶「よろしく!」
湊が1人掲示板に向かっていった
高校最後の1年…奏叶と湊と一緒に過ごしたい
奏叶は大丈夫って言ったけど…不安になってきた
…私の噂は消えた訳じゃない
奏叶達と離れたら私はあの視線の中で1人になってしまう…
奏叶「大丈夫って言ったでしょ?」
不安に思う私に奏叶は笑いかけてくれた
そして湊が戻ってきた
湊「3年2組千菜、奏叶そして俺♪3年も無事一緒だな♪」
その言葉を聞いた時凄く安心して嬉しかった
奏叶「だから言ったでしょ?」
得意気に笑う奏叶
もしかして知ってたのかな…
湊「お前初めから知ってたのか」
奏叶「いや?知らないってそんなの」
湊「本当に勘かよ…適当な奴」
奏叶「いいだろ別に!一緒だったんだからさ!それより早く教室行こうぜ。始業式始まるだろ」
私は玄関に向かう2人に声を掛けた
千菜「奏叶、湊…えと…よろしくね…」
湊「おう」
奏叶「こちらこそ」
春の陽気に照らされる2人の笑顔
これからはきっと違う未来が待っているんだと思っていた
――…だからまさかそんな事になるなんて思ってなかったの
大丈夫って言ったから…
―――ダダタッバタン!
湊「千菜ぁ!!」
…誰がそんな未来を知っていただろうか
―…ドサッ…