小さなキミと
「ごめん服部。ゲーセンで嫌な思いしたばっかなのに、変なことしてごめん」


未だに顔の熱が引かないのを感じながら、あたしは「ごめん」を繰り返す。


そんなあたしを見て、無言で小さく首を傾げた服部。

彼は落ちたペットボトルと2人分のカバンを拾い上げ、こちらに向かって歩き出した。


「だ、だからさぁ、アンタ女苦手でしょー? あんま近づかない方がいいんじゃないっ?」


服部から一定の距離を保つため、後ずさりしながら言う。

手を握ってここまで走ってきてしまったことも、今更だけど後悔した。


ゲーセンで見た、服部の顔はひどかった。

まるでこの世の終わり、みたいな真っ青な顔だった。


今あたしから目を逸らしたときだって、なんか、なんか。


服部、嫌そうだった気がする!


「は? オレがいつ女が苦手って言った?」


服部が怪訝な顔で訊いてきた。


「……葉山くん情報、です」


あたしの返事に服部は、悔しげな顔で「またアイツかよ」とつぶやいた。


葉山くんに訊かずとも、アナタの態度でそのうち自然と悟ってただろうけど。

とあたしは心でそんなことを思う。


「言っとくけどなぁ」


気を取り直した服部はあたしに指を突き付け、言葉を続ける。


「オレは剛を女だと思ってないからっ」



その瞬間、誰かに思いっきり、ガツンと頭を殴られたような気がした。



────女だと思ってないから


服部が大声で放った一言が、頭の中でリピートする。

その残酷な一言は、のぼせ上がったあたしの身体を一瞬で凍り付かせる。


あたしは、自分に驚いた。


確かにショックを受けている自分がいて、悲しんでいる自分がいて。


コイツの一言で、こんなにも切なくなって、悲しくて涙が出そうになる。




それって、それって。


もしかしてあたし……










服部を、服部のことが、


好き……ってこと?

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