小さなキミと
違う……って、なにが?


服部の言葉が理解できず、戸惑(とまど)った。

あたしの手首は、相変わらず服部に掴まれたまま。


すると服部は唐突に、空いた方の手でもう一方の、つまりあたしの手首を掴んでいる方の、

自分のブレザーの袖をグイッと捲(まく)り上げた。


意外と筋肉質な、服部の前腕があらわになる。


え……どういうこと?


驚いて声が出ないあたしに、服部は思いがけないことを言った。


「ホラ、蕁麻疹が出てねーのっ」


……はい?


服部が口にしたのは、あたしが全く予想だにしていなかった、突飛(とっぴ)な単語だった。


「じん……ましん?」


服部はコクっと頷き、早々にブレザーの袖を下げた。


「なんでか知んないけどオレ、女子に触られると蕁麻疹が出るの。そういう体質なの」


「えぇっ?」


驚くあたしをよそに、服部は目を伏せ言葉を続ける。


「オレ、昔から女子って苦手で……。
生理的にっていうのもあるけど。それよりなんて言うか、不気味、みたいな感じで」


「……はぁ」


よく分からなかったけど、取りあえず相槌を打っておく。


いつの間にか、涙は奥へ引っ込んでいた。


「女子って、目的の為なら平気で嘘ついたり、平気で友達裏切ったりするじゃん。
腹の中真っ黒じゃん。マジで何考えてんのか分かんねーし。
強引で陰険(いんけん)だし、卑怯だし。俺にとって、女子ってそういう存在なの」


……それは、なにも女子に限ったことでは無いんじゃないかな。


思っただけで、あたしは口には出さなかった。


これから服部が言おうとしていることが、なんとなく分かったからだ。

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