小さなキミと
あの日、突然湧いて出た、服部への“好き”という気持ち。

あのときのあたしは、ただただ自分自身に混乱していた。


感情のままに怒って、八つ当たりみたいな言葉で服部を責めて、勝手に泣きわめいて。


本当、バカなことをしたと思う。


服部があたしのことを、好きとかそういう感情になることは有り得ない。

だから、期待しちゃダメなのに。


何だか照れくさい事を言われたせいで、一瞬でも喜んでしまった自分が恥ずかしい。


あのときはもういっぱいいっぱいで、根底に考えなきゃいけない大前提をすっぽり抜かしてしまっていたのだ。


それは……身長。


服部は159で、あたしは173。

女子の方が14㎝もデカいって、どうよ……



いつだったか、中2のときに大好きだった男子バレー部の先輩に、こんなことを言われた。

“自分よりデカい女連れて歩く勇気ないわ”


やっぱりネックは、あたしのデカすぎる身長だ。

というか、身長以前の問題もある。


普段の態度から分かるように、服部のあたしに対する感情は決して恋や愛の類ではないし、

今後そうなることはまずない、と思う。


あの日の失態は、自分で感情を上手くコントロール出来ていなかったせいだ。

その点今では、気持ちを隠すのが随分と上手になったと思う。


服部の前では、今まで通りの剛涼香をちゃんと演じられているつもりだ。


だけどたまに、服部に女として見られていないっていうのが、露骨に分かったりするときがあって。


つい怒ったりしちゃうから、それだけは気を付けないといけない。


先輩のときにそうだったように、この服部に対する気持ちだって、きっといつかは冷めていく。

それまでの辛抱だ。


服部と話せなくなったり、気まずくなったりする方がよっぽど悲しいから。

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