小さなキミと
謂(いわ)れのないことで責められるなんて、たまったもんじゃない。

沸々と湧き上がる怒りと、堪(こら)えろという理性が壮絶な戦いを繰り広げる中……


「最近やたら圭が、剛さん剛さんってうるさいんだよ。剛さんとどうなの、とか、しつこいったらねーの」


服部のその言葉に、あたしは一瞬で血の気が引いた。

怒りの感情が押し出されるかのように、頭からスーッと消えていく。


葉山くん、あなた、まぁなんてことを……

結がなにか余計なことを言ったんじゃ……


「お前、嘘はよくないからな。俺にアレされたコレされたって適当なこと言ってると、そのうち威力業務妨害で訴えるから」


……ハァ!?


あたしが黙っているのをいいことに、服部は真顔でとんでもないことを言い出した。

再びあたしの感情は、怒り一色に早変わり。


「威力業務? バッカじゃないの、それを言うなら名誉棄損ッ」


まずは訂正。

そしてあたしは反撃に出る。


「それならあたしは冤罪で訴え返しますから。
っていうか、嘘なんかついてません。
押し倒した? ハァ? 誰がそんなこと……」


そこまで言いかけてハッとした。


思い当たる出来事が頭に浮かんだからだ。

押し倒したというのは、もしかして。


「ねぇ。あの……それってさ。
この前、あたしが駐車場でコケて、2人してひっくり返ったときのハナシ?」


おなじみの仏頂面を顔に張り付けた服部は、無言でピクリと眉をつり上げた。

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