小さなキミと





1組の教室に戻ったあたしは、まず結に説教をした。


「何でもかんでも、葉山くんに言うなバカっ。
それと、事実を捏造(ねつぞう)するんじゃないっ」


それに対する結の返事は「ごめんごめん」の一言のみ。

はたして本当に悪いと思っているのか、ものすごく疑問だった。



それからはもう、葉山くんと付き合いたてほやほやの、結のノロケが止まらなくて。

あっという間に昼休憩の時間は終わり、すぐに午後のプログラムが開始。



あたしと日向が審判の仕事に勤(いそ)しむ中。

結は、バレーコートから少し離れた男子のサッカーの試合に釘付けだった。


葉山くんの名前を叫びながら、ピョンピョン飛び跳ねて喜んだりタオルを振り回したりしちゃって。


いいよなぁーリア充は。

なんて、横目で結を見ながら何度ため息をついたことか。



審判をしたり試合に出たりで、午後もなにかと忙しかったあたし。

だけど運よく、服部が出ていたバレー男子の試合を少しだけなら見ることができた。



大柄な男子に混ざって、服部は小さいながらも、一生懸命ボールに食らいついていた。


他の生徒が諦めるような、遠くに飛んで行ってしまったボールだって、服部は最後まで諦めなかった。


『たかが球技大会』

そう言い訳をして本気を出さない生徒がいる中で、服部の必死な姿には心を打たれた。


服部のことを、初めてカッコいいと思った。



「服部がんばれーっ」


思い切ってコートの外から声援を送ってみると、

あたしに気づいた服部が、ちょっと驚きつつも片手を上げて笑ってくれたっけ。


その瞬間キュンと胸が鳴って、すっごく嬉しかった。

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