心も体も、寒いなら抱いてやる
ボールを追って遊び疲れたのか、ビィが地面に臥せって休んでいる。

風が少し強くなって急に空気がひんやりと冷たくなってきた。

「寒くなってきたね」と、再度時計を見る。4時半だった。

「ご飯つきあってよ」

「バイトがあるもの」

「どこの居酒屋?」

「赤ずきん」

みのりの家の最寄駅の、商店街にある大衆居酒屋だ。

俊がビィの散歩グッズ<うんち袋やおやつや水なんかを入れた小さなバッグ>からスマホを取り出し、店名を調べた。

そしていきなり電話する。

「あ、もしもし、相川みのりの弟ですが、姉が急に熱を出してしまって、申し訳ないんですが今日のバイトは休ませていただけますか? はい、すみません。あ、もし人手が足りなくて困るのであれば、姉の同級生で暇なやつがいるんでそちらに向かわせますが。あ、大丈夫ですか。わかりました、すみません」

「ちょっと!」

「店の人がお大事に、って」

いたずらを仕掛けた子供のように笑う。

久しぶりに昔の俊に会った気がした。
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