心も体も、寒いなら抱いてやる
「もろもろ先に?」

「そう、もろもろね」、と、花蓮がこんなにんまり笑いをするときには隠し事というか、隠し玉があるときだ。

「それと、もう太一君には連絡したから。夕食は7時からだけどいい?」

いい?って、返事を聞くまでもなく、段取りはすべて整っているんじゃないか、と半ばあきれてみのりは「わかった」と頷く。


たん、たん、たん、たん、と2種類の音が階段を下りてくる。

俊とビィだ。

太一がビィを見たら喜ぶだろうな。

あいつは犬が大好きだから。

そんなことよりこれまでのことをどう話そうか。

俊がルカだということは、俊の事情だから仕方ない。

けど、親友となんだか気まずくなったまま会えずにいたのに、実は自分の姉ちゃんは内緒で毎日その親友と会っていたなんて知ったらどうなんだろうか。

明日のロケを前に肩の荷が一つ降りるどころか、肩が地面に沈み込むかのように重くなってきた。

胃もキュッとしてきて、みのりの食欲は減退していった。
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