心も体も、寒いなら抱いてやる
シャワーを浴び後、ドライヤーを強にして髪をがしがしとかきながら乾かしていた俊は、ドアをノックされたのも、電話の着信音も聞こえなかった。

みのりのメッセージに気づいたのは服を着てすっかり準備を整え、さあレストランに行こうかと、テーブルに放り出してあったスマホをパンツのポケットに突っ込もうとした時だった。

「ごめんなさい。どうしても急用で東京にもどらなくちゃならなくて。あとで連絡します。本当に、本当にごめんなさい」

みのりの声音にせっぱつまったものを感じてすぐに電話したが、何度電話してもみのりは出なかった。

呼び出し音が鳴り続く。

何だよ、出ろよ、とイラつきながら、俊は「あれ?」と耳を澄ませる。

電話の中から響く呼び出し音と同時に、隣の部屋からかすかに「ちゃ~ららら~ららら~」という音色が聞こえる。
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