心も体も、寒いなら抱いてやる
気が急いていたので、心配そうな顔をするフロントの人に「じゃあ連れの人にお願いして車を出してもらいます」とウソを言って部屋に戻るふりをして外に出た。

真っ暗だけど時間はまだそれほど遅くない。

確か一本道だったからそのまま急いで下って行けば30分くらいで着くのではないか、と思ったら、途中で横に入る道があった。

駅に向かって真っすぐに伸びているように見えた。

くねくねと蛇行した道を行くよりも随分と近道に思えたので、迷わず降りていったらなんとすぐに行き止まりになってしまった。

なのでまた来た道を戻って歩き始めたら、再び横道が現れて、今度こそはとまた降りていった。


ホテルを出てすぐにぱらぱらと振り始めた雨がみるみる間に強い雨になり、昼の春めいた陽気に惑わされて、シャツに綿のクロップドパンツという薄着をしていたみのりは、全身びしょぬれになるとあまりの寒さに歯がカチカチと音をたてた。
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