心も体も、寒いなら抱いてやる
それでも、とにかく早く駅へ。

とにかく早く帰って太一の病院に行かなくては。

その一心で、目の前しか見えない真っ暗な細い道を走り始めた。

激しい雨の音に重なり、水が流れる音に気付かず―――。

ローヒールの中で足がぬるっと滑って転び、そのまま沢に向かって転げ落ちていく。

靴が脱げ落ち、鞄もどこかに放りだされた。

幸い、沢はとても小さくて雨で水がかなり増してはいたものの、どうにか沢の流れの手前に散らばったごつごつとして石がストッパーとなって水に流されなくてすんだ。

すぐに立ち上がろうとしたが、みのりは「いたっ」と声に出して沢の端の浅瀬に再びしりもちをついた。

右足をくじいたらしい。

右腕は落ちたときに枝に刺さったのか石にあたったのか、10センチほど切れていて血が出ていた。
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