心も体も、寒いなら抱いてやる
この場所にいたらいつか水が増して流されてしまうかもしれない。

みのりは転げ落ちてきた方向を見上げる。

白っぽいバッグが見えた。

「財布がなくちゃ帰れないし」

みのりはなんとか左足で立って、木につかまりながらバッグのところまでよじ登って行った。

体が冷えているのと、雨に打ち付けられて体が思うように動かない。

ああ、そうだ。私ったら今頃気が付くなんて―――。

迷路の抜け道を思い出したようにホッとしてバッグの中を探り、そしてすぐに落胆する。

命綱の様なスマホを、あわてて部屋に忘れてきたらしい。
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