心も体も、寒いなら抱いてやる
火葬して父の骨を拾い、葬儀を終えた夜、みのりは黒いワンピースを着たまま、昔父とよく訪れた近所の公園に出かけた。

小学校の校庭ほどの小さな公園だが、やはり小学校の校庭のように、大きな桜の木が敷地を囲んでいる。

桜の花が咲くと、父はいつも「お前が生まれた日を思い出す」と目を細めた。

「桜の花がちょうど満開だったんだ。みのりが生まれてきたのを桜も祝ってくれているんだなって、父さん、生まれたばかりのみのりを抱いて、病院の窓から見えた桜の花たちにあいさつしたんだ。これが俺の娘のみのりだよ、よろしくって。君たちのように美しく清々とした娘になりますようにってな。その時、桜が大きく揺れて、応えてくれた気がした。青い空に花びらが舞って、それはそれはにきれいな日だった」
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