心も体も、寒いなら抱いてやる
みのりは桜を見上げた。

墨色の夜空に、ほとんど白色に近いピンクの花が浮かびあがっている。

もうお父さんと桜を見ることもできない。

まさか自分の誕生日にお父さんのお葬式をするなんて。

これは罰だ。

バカな私への罰だ。

父のことを何もわかっていなかった狭量な自分への罰だ。

「お父さん、ごめんね」

桜に向かってつぶやいた途端、悲しみが襲ってきて、みのりは首を後ろにそらして、大きく息を吸い、ふぅーっと吐き出した。

泣きそうなときにはこうすると涙がひっこむのだと、昔お父さんが教えてくれたのだ。

すぅーっと息を吸い、ふぅーっと吐き出す。

涙がこぼれだしたら、もう自分を支えられない気がした。
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