心も体も、寒いなら抱いてやる
「あのね、」

みのりが話し始める。

「お母さんも来年は桜を見られないかもしれないの。癌がね、なかなかおとなしくなってくれなくて」

「そうか」としか、俊は言葉を返せなかった。

「俊くん、寒いね」

「ああ」

「春なのに―――」

「うん」

「春なのに、なんでこんなに寒いのかな?」

みのりは顔を覆い、ようやくその指の間から、涙がこぼれた。

ずっと、ずっとこらえていたのに、もうどうしようもなくなって。
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