心も体も、寒いなら抱いてやる
「山瀬、大丈夫か?」

「山瀬君! 大丈夫?」

彼女と教師がかわるがわる声をかけても返事はなく、教師が俊の肩に触れた途端、「うっ」とうめいて顔を歪めた。

大丈夫ではなかった。

鼻血を流して倒れていた俊はあまりの胸部の痛みに体をまるめたまま動くことができなかった。

「痛い……」

「先生、救急車呼ぼう。山瀬君が死んじゃう」

自分のせいで(実際には彼女のせいではないのだが)、こんなひどい目に合わせてしまった―――

彼女は泣きながら俊が取り返してくれた鞄から携帯電話を取り出して教師に渡した。
< 31 / 209 >

この作品をシェア

pagetop