心も体も、寒いなら抱いてやる
俊の部屋に入ると、太一は鞄を置いてフローリングの床に座り、その正面に俊も座った。

「で、話ってなに?」

「なあ、お前、転校しろよ。もっと程度のいい私立の学校に。じゃないとそろそろやばいと思うんだ」

 体中のあざや不細工に刈られた髪、ナイフで切られたずたずたのシューズや鞄、数え上げればきりがないほど危険な兆候があることを誰よりも、いや太一だけが知っていた。

「やだよ。僕のせいで太一を巻き込んでいるのに、何で僕だけ転校するんだよ」

「俺は俊よりかは狙われていないから大丈夫だよ」

けれど俊は太一が自分をかばっているせいでいくつものあざを制服の下に隠しているのを知っていた。

「どうしてもっていうなら太一も一緒に転校しようよ」

「それは無理だよ。俊の方が頭いいし、今の成績で一緒の私立に転入するのは不可能だよ」

「じゃあ、行かない。僕も太一を残していくのは無理だし」
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