心も体も、寒いなら抱いてやる
「やっぱりね。俊があんなだからビィも不安定なのよ、きっと」

そういいながら動物病院を出ると俊に電話をかけて、すぐに「はい」、とスマホをみのりに渡した。

直接自分で話せばいいのに、まだ花蓮の怒りは収まらないらしい。

「もしもし」

撮影の合間だったのか、仕事中の割には呼び出し音3回ですぐに俊が出た。

「あ、みのりです。ビィちゃんは特に心配はないみたい。もし明日も具合が悪そうだったら……」

「え、」

思わずスマホを見つめるみのりに花蓮が尋ねる。

「どうしたの?」

「話の途中だけど切られた。最後まで説明してないから薬の件は花蓮から伝えておいて」

「まったく、あいつったら。ごめんね、みのり。あんな弟に関わらせちゃって」

「別にいいよ。あ、そういえばビィちゃんて本名はビートルなんだね」

< 50 / 209 >

この作品をシェア

pagetop