心も体も、寒いなら抱いてやる
Fスタジオまでの道順は、昨晩グーグルマップで確認して頭に入れてある。

ナビもあるし、単純な道のりなので迷うことはないだろう。

問題なく辿りつけば、ゆっくり走ってもたったの30分だ。

なんてことはない、と言い聞かせながらみのりは慎重に運転していく。

俊の家から出て10分、まずまず順調だ。

「おい、」

「はい?」

「いつまで徐行してんだよ。普通に走れよ」

「えっと……普通に走ってるつもりなんだけど」

「35キロってフツ―じゃねえだろ。こののろさは犯罪だ」

確かに周囲から激しくクラクションを鳴らされている。

気持ちはあせるがそれでもアクセルを踏み込む勇気がない。

「でも……」

「でももくそもねえから、もう少し速度を上げろ!」

ごくりと唾を飲み込む音がして、次の瞬間、車はいきなりぐぃーーんと加速し、俊の体ががくんと前後に大きく揺れた。

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