心も体も、寒いなら抱いてやる
「おい、」

「はい」


「おれを殺す気か……。加減てもんがあるだろう」

「はい」

と、今度はまたがくんと速度が落ちた。

「あぶねーよ! 後ろの車が衝突するだろ!」

「いや、信号が黄色になったから」

前方の信号をちらっと確認すると、「どけ」と言って俊は後ろの席から体を前に乗り出した。

「え?」

「俺が運転するからどけ!」

みのりは慌てて助手席に体を移し、俊はでかい体を器用にかがめて後部シートから運転席にするりと移った。

信号はまだ赤に変わったばかりだ。

俊はシートの位置を変えてシートベルトをしてからミラーを確認する。

「くっそ。髪がうざいな」

額にかかった俊の前髪はぼさぼさだけどサラサラで、どうやってもはらはらと目の上に降りかかり、視界を遮ってしまう。
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