心も体も、寒いなら抱いてやる
少しして、「みのり、入るわよ」と、母が部屋のドアを開けた。

ベッドに背を預けて床に座りながら、母を見上げる。

「説明が足りなかったから、これだけは追加しておく。悪いのはお父さんだけじゃなくてお母さんにも責任があるの。お父さんが帰ってこなくなって、本当のことを聞くのが怖かったし、問い詰めるのも面倒で、いつしかそれでもいいかなって思うようになってた。しょせん家族といっても夫婦は赤の他人だから、愛情をつなぎとめるためには努力が必要なのに放っておいたのはお母さん。これから私たちの関係は夫婦じゃなくなると思うけど、あなたと太一とお父さんと私の関係は家族のままだから」

「全然理解できない」

ありったけ不機嫌な顔を作って母の勝手な説明を突っぱねる。

なのに母は「そうよね」とほほ笑んだ。

「笑い事じゃないと思うけど」

「ごめんね。あと太一にはまだ話していないから、もう少しだまっておいて。私からきちんと話すから」

言いたいことだけ言い、自分だけ一つ肩の荷を下ろしたような表情で母は部屋から出ていった。

太一にはどう説明するのだろう。

太一はみのり以上にセンシティブで、あの年頃の男の子の割には家族愛が強い。

いじめを乗り越えた後に今度は両親の離婚か。

太一は今度はどうやって受けとめるのだろう。
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