心も体も、寒いなら抱いてやる
それから1か月。離婚話は保留のまま、表向きには状況は何も変化していない。

太一は「忙しい」という理由でめっきり家に戻ってこない父に不信を抱くこともなく、相川家に変化が起こっていることに気づく様子はない。

そしてそんな状況のまま、今度は母の子宮にがんが見つかった。

壊れるなんて考えてもみなかった丈夫な椅子が、実は知らないうちに足がぐらついていて、気づいた時には1本ずつ抜けかかっている。

今の相川家はそんな感じだろうか。

真っ先に伝えるべき相手にがんになったことを黙っているなんて。

母にとって父はもう病気を知らせる家族ではないのだと考え、みのりは寂しくなった。
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