琥珀の記憶 雨の痛み
「せ、正社員さんになるんですか……?」
おずおずと、でもめげずにユウくんに話しかけた彩乃ちゃんは、もしかしたら私が思っているよりも強いのかもしれない。
ユウくんは興味なさそうにまた煙草をふかしたまま、「その内」と彼女の顔も見ずに呟いただけだったけれど。
せっかく彩乃ちゃんが勇気を出したのに、話はそれ以上膨らむわけもなくしぼんでいく。
メグが気を遣ってくれたのか彼女を呼んで、自分たちの輪の中に引き入れた。
お腹が空いたらこっそり惣菜のバックヤードに遊びにおいで、と、いつものセリフを彩乃ちゃんに吹きこんでいる。
多分『いいんですか?』『ほんとは駄目だけどね』みたいなやり取りを交わしているのだろう、少し声のトーンが落ちたと思ったら、リラックスした笑い声が聞こえて来た。
大丈夫そう、とその様子をホッとしながら見守っていた私に、
「あんた」
「へっ!?」
会話の輪に入るでもなく煙草をふかしていたユウくんが突然話しかけてきた。
「後輩出来て張り切っちゃってんの? おもしれー」
小馬鹿にしたようににやりと笑われて、思わず彼のお尻を蹴っ飛ばした。
「ってぇ。んだよ、意外と凶暴だな」
言いながら、彼は全然痛そうじゃないから頭に来る。
それどころか人差し指でくいくいっと合図をされて、渋々屈んで顔を近づけると耳元に小声で囁いた。
「いいのかよ。見られてんぞ、凶暴なとこ」
おずおずと、でもめげずにユウくんに話しかけた彩乃ちゃんは、もしかしたら私が思っているよりも強いのかもしれない。
ユウくんは興味なさそうにまた煙草をふかしたまま、「その内」と彼女の顔も見ずに呟いただけだったけれど。
せっかく彩乃ちゃんが勇気を出したのに、話はそれ以上膨らむわけもなくしぼんでいく。
メグが気を遣ってくれたのか彼女を呼んで、自分たちの輪の中に引き入れた。
お腹が空いたらこっそり惣菜のバックヤードに遊びにおいで、と、いつものセリフを彩乃ちゃんに吹きこんでいる。
多分『いいんですか?』『ほんとは駄目だけどね』みたいなやり取りを交わしているのだろう、少し声のトーンが落ちたと思ったら、リラックスした笑い声が聞こえて来た。
大丈夫そう、とその様子をホッとしながら見守っていた私に、
「あんた」
「へっ!?」
会話の輪に入るでもなく煙草をふかしていたユウくんが突然話しかけてきた。
「後輩出来て張り切っちゃってんの? おもしれー」
小馬鹿にしたようににやりと笑われて、思わず彼のお尻を蹴っ飛ばした。
「ってぇ。んだよ、意外と凶暴だな」
言いながら、彼は全然痛そうじゃないから頭に来る。
それどころか人差し指でくいくいっと合図をされて、渋々屈んで顔を近づけると耳元に小声で囁いた。
「いいのかよ。見られてんぞ、凶暴なとこ」